炎症とがんと腸内細菌「女性が大腸がんになったとき」大腸がんと腸内細菌の関与性
女性が大腸がんになったとき
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自分がもし「大腸がん」になったら・・・
そんな風に想像したことはありますか?
普通はないですよね、でも私はよく考えます。
それというのも、知り合いのおばさまが先日大腸がんの手術をしたからです。
直腸にがんができ、人工肛門をつくる手術をしました。
大腸がんになると、早期発見以外の場合、多くの患者さんが”腸の一部を切除”することになります。
大腸がんができた腸の場所によって手術法や切除範囲は違いますが、肛門近くのがんの場合は肛門周囲組織をとらなければならないため、人口肛門をつくる必要があります。自分のお腹に穴をあけ、腸の出口をつくり、そこから便を出すことになります。そして手術をしたあとは、後遺症に多かれ少なかれ悩まされます。
私は、おばさまにもいつも検査を受けるように、と勧めてきましたが、「怖いからイヤよ」と先延ばしにしていたようなのです。
女性の死因1位の大腸がん、腸内細菌との関与性が明らかになりつつあります。
本日は腸内細菌と大腸がんの関係性について調べてみましょう。
女性死因1位、大腸がん
大腸の病気が増えていますが、その中でも最も気になるのは大腸がん。
日本人の死因は1981年以降、がんが1位になっています。実際に日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなると言われています。
がんの種別で比較すると1990年くらいまでは男女ともに胃がんが最も多かったのです。
それが時代とともに肺がん、肝臓がん、大腸がんが増加してきました。2005年には女性のがん種別死亡者数は大腸がんが胃がんを上まって1位となりました。
これはなぜでしょうか?
食生活の欧米化、これが最も有力な説として考えられていました。
脂肪を大量に摂取すると、消化を助けるために胆汁酸が分泌されます。脂肪の消化の際に発生する物資のなかに発がん物質があり、大腸の粘膜を刺激してがんが発生すると考えられていました。
大腸がんの発生を引き起こす菌がいる?
人間の体の中にいる常在菌は、約1kgから2kg程度になりますが、その大部分が大腸にいます。
これまで、腸内に生存する菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌などに分類されていましたが、近年の研究ではそのように単純に分類できるものではないことがわかってきました。まだ発見されていない菌、どんな影響を及ぼすのかわからない菌も沢山あります。
次々と新しい菌がわかっていく中で、注目されている大腸菌があります。
胃がんの原因菌のひとつがピロリ菌であるように、大腸がんにも特定の菌が関与しているのではないかと考えられるようになりました。
腸内にどのような菌がいるか?腸内フローラを調べることで簡単に安全に大腸がんの早期発見ができることが、近い将来実現できるのかもしれません。
炎症とがんと腸内細菌
「がん」と「炎症」と「腸内細菌」は深く関わっていることがわかっています。
慢性的に炎症を抱えることによって腸内内細菌叢のバランスが崩れ、特定の大腸菌が増殖することで大腸がんの発生を引き起こしていることは明らかになっています。この大腸菌は宿主のDNAにダメージを与え、大腸がんを発生させるのではないかと考えられています。
国立がん研究センター、慶應義塾大学では、協力して内視鏡の検査データと腸内環境の遺伝子データを合わせる研究が進んでいます。
大腸がんも初期の状態で発見できれば内視鏡手術での治療が可能となり、生存率を上げると同時に身体への負担を大幅に抑えることができます。
これから大腸がんは、腸内フローラの改善をすれば予防できるがんとなる日も近いことでしょう。
早くそんな未来が来るといいですね。
それまでは、定期的な大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。早期発見が何よりの治療です。