口の中の細菌が病気を作る
私は48歳で歯の矯正をしました。
歯並びが気になっていたことも始めた理由のひとつですが、この歳になって始めた最大の目的は「虫歯と歯周病の予防」です。
歯周病は日本人の国民病と言われています。
30台以上の3人に2人が歯周病と言われているほど。
これは恐ろしいことです。
なにを意味するかって?
歯を喪失する、
口臭がひどくなる、
それはもちろんのことですがそれ以外にも
動脈硬化、認知症、がん、糖尿病、高脂血症など様々な病気の原因となるからです。
歯周病は腸内フローラと密接な関係があります。
腸の入り口は「口」。
この口の中に沢山の病原菌がいたらどうなるでしょう?
川の上流で糞便を流したら、その川のすべての水が汚染されるのと同じこと。
口の中の病原菌は自分の「腸内フローラ」を攻撃します。
歯周病が腸に悪い
腸内環境が悪いと歯周病菌の影響を受けやすい
そんなことはなんとなく分かっていたことですが、最近の研究によって口腔内フローラと腸内フローラの関係が明らかにされようとしています。
本日は・・・私がいま学んでいる「口腔内フローラと腸内フローラの関係」について皆様にお伝えしようと思います。
口の中の細菌
口腔内にはまだ分からない細菌を含め約700種類の菌が、腸内フローラに匹敵するするほどの常在細菌が生息しています。
その主な生息場所は、歯や歯周ポケットに形成されるバイオフィルムつまりプラークの中です。1g中に1000億個、唾液からも億単位の細菌が検出されています。
腸内細菌にも影響を及ぼす「歯周病」は、歯肉縁下のプラークが原因となり発症します。
口腔の常在菌からは強い病原性をもつ菌は検出されませんが、口腔細菌は大量に分泌される唾液や咀嚼の圧力に抵抗する強い付着性があるのが特徴です。
そのため細菌の密度は糞便よりもはるかに高くなります。
いろいろな細菌が集まり凝集するため菌の組織定着が可能となります。
歯周病の原因菌となる菌は、アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス、プロフィロモナス・ジンジバリス、プレボテーラ・インテルメディア、スピロヘーターなどがあります。
これらの菌が、異常増殖すると歯周ポケットが形成され、付着部から歯面からはがれ、続いて歯肉が剥がれ、歯槽骨の破壊を招きます。
腸との関係
歯周ポケットにプラークがたまり潰瘍性病変が形成されると、細菌の一部は常時体内に侵入します。
放置すると炎症が慢性化するため、炎症部位では炎症性サイトカインが産生され血行性に全身に波及すると考えられています。
歯周病があると毎日大量の歯周病菌を飲み込んでいることになります。
1日の唾液量は1ℓから1.5ℓ。
1つの歯周病があるだけで約100億の菌を飲み込んでいるのだそう。
そのため腸内細菌バランスを健康に保つためには歯周病や虫歯の治療はとても大切です。
また、歯周病菌を全身に波及させないためには「腸管のバリア機能」を高めることも必要なのです。
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腸は口から始まっている
近年では口腔内フローラと腸内フローラの関連性を調べる研究がさかんに行われています。
2014年のNatureでは、肝硬変患者さんの腸内フローラを解析したところ口腔内由来と思われる細菌が多く検出されことが分かりました。口腔内の細菌は疾患の重症度と相関関係もあるようです。
動脈硬化病変の血管内病変中のDNAを解析すると、歯周病を有する場合、口腔内細菌と共に腸内細菌が高頻度に検出されました。
これはどういうことかと言いますと・・・
いったん飲み込んだ口腔内細菌が腸管から吸収され全身に循環される可能性が高いということです。
マウスの実験でも口から歯周病原因菌を投与すると、腸内フローラが変動するのと同時に血中毒素が上昇することが分かったのです。
歯周病の原因菌を飲み込む
⇩
腸内フローラが乱れる
⇩
腸のバリア機能が低下する
⇩
病原菌が全身を循環する
⇩
血中毒素が上昇する
こんな感じに「菌の悪循環」は続いてしまうのです。
口と腸の密接な関係、おわかりいただけたでしょうか?
ちょっと難しいという方は・・・
・歯周病は万病のもと
・腸のバリア機能を高めないと口から色々な病気が体に入り込んでくる
この2つを忘れないようにしましょう。
口も大切、腸も大切。
病気は治療よりも予防!
みんなで「ピンピンころり」目指していきましょう(^o^)