タケプロンやネキシウムを飲み続けると小腸と大腸の炎症を起こす「PPI長期投与で腸内細菌叢変化」

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胃薬が腸炎の原因に?

 

胃潰瘍や胃炎を繰り返していたので「胃酸を抑える薬ももらっている」というかた、本日の記事をどうぞご覧ください。
内視鏡センターで勤務して思うことは「胃薬の長期服用が問題になっている」ということです。

 

いまから20数年前、ストレスを抱える人々の胃には潰瘍や炎症が当たり前のようにありました。
「みぞおちがキリキリする」
という症状があったのを思い出すかもしれません。

 

胃潰瘍、胃がん大国だった日本。
しかし、プロトンポンプ阻害剤(PPI)という薬の出現でその様子は大きく変わりました。
胃の痛みをぴたっと止めて、潰瘍や炎症がみるみる良くなる薬としてあっという間に世の中に広まりました。
現在私が内視鏡検査についていて感じることは、「深刻な胃潰瘍は減少し胃がんのリスクを抱える人は少なくなっている」という薬の劇的な効果です。

 

すべての物質は毒であり、毒でないものなど存在しない
その服用量こそが毒であるかそうでないかを決める

 

私の好きなパラケルススの言葉です。
胃の症状を抱える人にとって神のような薬であったPPIですが、あまりの効果に長期服用を続ける方が多く、いまその副作用がとても問題になっています。
PPIは腸内細菌にも影響を与え、腸炎を引き起こすことが分かりました。

 

本日は、胃薬と腸炎の関係についてまとめたいと思います。

 

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胃酸の働き

 

胃酸が多いと胃炎や逆流性食道炎を起こすためあまりその効果を実感することがないかもしれませんが、実はとても大切な働きを持っています。

 

✓病原菌からプロテクト・・・口から入ってくる細菌やカビなど病原性のある微生物を死滅させています。胃酸のpHは1.0〜2.0と強酸性のため特殊な微生物でないと生き残れません。また口の中で繁殖した病原菌も胃で死滅させ体内に侵入するのを防いでいます。

 

✓タンパク質の消化・・・タンパク質を消化するために必要な酵素ペプシンは胃酸によって活性化されます。胃酸が減少するとタンパク質が充分に消化吸収されないため、体に必要なタンパク質が不足してしまいます。また、未消化のタンパク質がそのまま小腸に運ばれると小腸で腐敗発酵し炎症の原因となります。

 

✓ミネラルの吸収・・・体調の維持に必要なカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などは胃酸がないと充分に吸収されません。

 

胃酸を抑える薬を長期服用していると、これら3つの大切な働きを抑えてしまうため様々な副作用が現れてしまいます。

 

 

プロトンポンプ阻害剤(PPI)の長期服用は腸内環境を悪化させる

 

胃酸を抑えて胃潰瘍や胃炎を抑える薬PPIの代表薬には「タケプロン」や「ネキシウム」がありますが、逆流性食道炎や胃潰瘍で高い治療効果を発揮するため多くの人々に処方されてきました。

 

しかし最近、このPPIの副作用が色々な分野で問題にされています。
PPIを長期服用すると病原菌の殺菌作用が低下しバリア機能が低下するため、細菌性腸炎の報告が後を絶ちません。
そのため医学会は適正な投薬をするよう呼びかけています。

 

最近の報告では,酸分泌抑制薬であるproton pump inhibitor(PPI)の長期使用が腸内細菌叢に影響し,Clostridium difficile(CD)感染症が発症しやすい環境になるとされている。potassium-competitive acid blocker(P-CAB)は,PPIよりも強力に胃酸分泌を抑制すると報告されている。このため,P-CABの服用によって腸内細菌叢がどのように変化するかを検討した1)。ヘリコバクターピロリ菌陰性健常者を対象として,PPI群とP-CAB群の2群で腸内細菌叢の解析を行った。P-CAB群ではPPI群に比して,口腔内の常在菌であるActinomyces属やRothia属が顕著に増加していた。また,P-CAB群ではBlautia属やCoprococcus属の著明な減少が認められており,この変化はPPI群で報告されていなかった結果であった。興味深いことに,このBlautia属やCoprococcus属は,CD感染症を抑制する細菌であり,P-CAB内服によってCD感染症が促進される腸内細菌叢の状態となっていることが示唆された。また,P-CAB群でLPS産生に関与する細菌群の著明な増加を示唆する結果も得られていることから,P-CAB投与ではPPI投与よりも腸管炎症が生じやすい腸内細菌叢の環境になっていることが示唆された。
これらの結果から,酸分泌を強力に抑制することで腸内細菌叢は変化し,CD感染症や炎症が惹起されやすい状況になっていることが考えられ,今後の酸分泌抑制薬の投与法および適応については再考する必要があると考えられた。
日本医事新報社より

 

 

プロトンポンプ阻害剤(PPI)・タケプロン、ネキシウムを飲み続けると腸炎になる

 

胃酸を抑える効果があるPPIは高い治療効果があるため、実際の臨床現場では胃酸の分泌と直接関連が高くないと考えられる症状にも処方されている傾向があるようです。

 

PPIを長い間飲み続けるとなぜ腸炎を引き起こすのでしょうか?
本来、口から入った食べ物は胃酸で病原性細菌を殺菌し、吸収されやすいよう小さく消化されて小腸に送られます。しかし、PPIによって胃酸の分泌を抑制してしまうと細菌がそのまま小腸に流入し腸炎を引き起こしてしまいます。

 

PPIを5年内服し続けた患者さんの大腸内の腸内細菌を調べると、Actinobacteria門(人間の腸内に多く生息する常在菌)が減少し、Bacteroides属、Clostridium属などの悪玉菌と呼ばれる菌が増加していました。

 

胃炎や胃潰瘍が改善したら服薬を中止していればこのような副作用は起こらなかったでしょう。
しかし、「調子が良いから」と理由で、数年にわたって飲み続けると腸内環境を悪化させる原因となってしまいます。腸内環境が悪くなると腸炎だけでなく様々な病気を誘発してしまいます。
薬は治療のために使う、予防投与はしない、この基本を守って正しい服薬管理を心がけて下さい。
私の薬大丈夫?という方はかかりつけ医にご相談下さいね(^o^)

 

 

 

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