低血糖発作と腸内環境「お腹が空くと手が震えて冷や汗がでます」機能性低血糖はなぜおきる?

お腹が空くと手が震えて冷や汗がでます

 

患者さんからこんな質問を受けることがあります。
お腹が空くと急に力が入らなくなり、震えて脱力してしまいます。
なにか食べたり飲んだりすれば治るのだそうですが、立っていられなくなるほど具合が悪くなることもしばしば。

 

そんな症状が怖くていつも飴などを持ち歩き舐めているようです。
でもこの対応はさらに症状を悪化させることにならないだろうか・・・?
ちょっと心配になります。

 

低血糖症状の根本的な解決は「糖分の補給」ではないと思います。
私は腸内環境を整えることと、血糖管理をすることは密接に関係があると考えています。
本日は「低血糖発作」が起きる仕組みと腸内環境について調べてみたいと思います。

 

 

 

低血糖発作はなぜ起きる?

 

私達が学生だったころは、インスリン分泌腫瘍やインスリン治療をしている人でなければ「低血糖発作」は起こさないと習いました。
しかし、いまでは糖尿病と診断されていない人でも一部の人は食事の前や夜中に血糖値が下がり、それが心臓発作のリスクになることが分かっています。

 

普通は食事をすると、腸管から糖質が吸収され血糖値が上がります。
食事をしてから時間の経過と共に血糖値は下がるのですが、必要以上に下がらない様にするために血糖値が下がりそうになったら肝臓に蓄えられていたグリコーゲンが放出されて血糖値を維持しようとする働きが起こります。
長い時間食事を摂らなくても低血糖を起こさないのはこのためです。

 

しかし、人によっては空腹時や夜中に血糖値が下がり低血糖症状を起こすことがあります。

 

 

血糖スパイクを起こす「機能性低血糖」とは?

 

糖尿病の薬を飲んでいるわけでもないのに、インスリン分泌腫瘍があるわけでもないのに、空腹になるとだるくなったり、ふるたり、眠気が起こるのは低血糖が関係している場合があります。また、寝付きが悪かったり、夜中に悪夢をみる場合も同様です。

 

それは、糖質が多い食事を摂ったあと食後に血糖値が上がりすぎたり、その反動でインスリンが沢山出過ぎて急激に血糖値が下がり低血糖になってしまうからです。普通の食事ではそれほど大きな振れ幅は示さないはずですが、血糖値を調整する因子のバランスが崩れると過敏に反応することがあります。

 

 

1日の血糖値の変動が激しくても、平均値が一定値を超えなければ血液検査上では異常が現れません。
しかし、上記グラフのような血糖スパイクが危険なのは、急激に血糖値の上昇が有害物質の活性酸素を発生させ血管を傷つけてしまうからです。その傷を修復する働きで血管の内側の壁が厚くなり血管が硬くなるため、心筋梗塞や脳梗塞などを起こしやすくなります。

 

また血糖値が高くなるとインスリンが過剰に分泌されるようになります。
インスリンはがんや認知症の誘発に関係します。
つまり血糖スパイクは糖尿病を進行させるだけではなく、全身の病気を招く怖い状態なのです。

 

 

腸内消化管ホルモンと血糖値

 

最近では、血糖調整する機序に腸管内で分泌される消化管ホルモンが深く関係していることが分かりました。
腸管からはインクレチンというホルモンが出ていますが、このホルモンが膵臓に働きかけてインスリンを分泌し血糖を下げるよう指示します。インクレチンの分泌が低下すると血糖を下げにくくするため糖尿病になりやすくなります。

 

もっと詳しく!

インクレチン(incretin)は、「膵臓のランゲルハンス島β細胞を刺激して、血糖値依存的にインスリン分泌を促進する消化管ホルモン」として定義され、具体的にはグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(glucose-dependent insulinotropic polypeptide:GIP)とグルカゴン様ペプチド-1 (glucagon-like peptide-1:GLP-1)の2つを指す。GIP は上部消化管に存在する腸内分泌細胞 (enteroendocrine cells)の一種である K 細胞が含有し、GLP-1 は下部消化管の腸内分泌細胞である L 細胞が含有する。インクレチンの血中濃度は食後数分~15分以内に上昇し、食後の血糖上昇によるβ細胞からのインスリン分泌を促進する。このようないわゆる「インクレチン効果(incretin effect)」によって、インクレチンは食後の血糖恒常性(glucose homeostasis)や耐糖能 (glucose tolerance)の維持に貢献していると考えられている。そして分泌されたインクレチンは、消化管、腎臓、前立腺などの上皮細胞や内皮細胞、リンパ球などの細胞膜に発現し、可溶性タンパク質として血中にも存在しているジペプチジルペプチダーゼ-4(dipeptidyl peptidase-4:DPP-4)によって速やかに不活性化される。このため、インクレチンの血中半減期は数分とごく短いことが知られている。腸内細菌学会より

 

血糖を上げるホルモンはグルカゴンです。
グルカゴンは膵臓から分泌されますが、腸管からも分泌されます。グルカゴンは肝臓のグリコーゲンを分解して血糖を上げる作用があります。この働きは低血糖を予防するためにとても大切な働きですが、グルカゴンの分泌が十分でないと血糖が下がりやすくなってしまします。

 

機能性低血糖には、膵臓のインスリン分泌機能以外にも様々な要因が関係しています。
特に腸内環境が消化管ホルモンの分泌に関与して血糖調節機能に密接に関係していることが分かっています。

 

また、腸内環境バランスが崩れると腸の中にカンジダという真菌が繁殖することがあります。カンジダ菌からはアラビノースという物質が放出されますが、構造がブドウ糖に似ているため、血糖値が上がっていると膵臓が判断しインスリンを分泌することがあります。

 

カンジダ菌について詳しくはこちら⇒カンジダが腸内環境を荒らす?!リーキーガット症候群と免疫力「カンジダを抑える食事と生活とは?」

 

医師や看護師が口を揃えて言います。
「糖尿病にだけはなりたくない」
糖尿病とは血糖値の問題だけではなく、万病の元になるからです。
血糖スパイクを予防するためには、むやみやたらと糖質を制限するのではなく、体全体の栄養素と腸内環境を考えた食生活を心がけて行きましょうね!

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