腸内フローラを調べれば生まれた病院がわかる?!
その人の腸内フローラを調べれば、産まれた病院がわかるというレベルまで腸内細菌の検査技術は進化しています。
なぜ産まれた病院と腸内フローラが関係するのか?
赤ちゃんは、始めて触れた菌を取り込み自分の腸内に定着させます。
自然分娩で産まれた赤ちゃんは、口腔、皮膚、腸管において母親の乳酸桿菌などの膣常在菌で埋め尽くされます。
しかし、帝王切開で産まれた赤ちゃんから検出されたものは、赤ちゃんを取り上げた医師や看護師の皮膚常在菌だったという結果が出ました。
これはどういうことなのでしょう?本来であれば、始めて腸内フローラに住み着く菌はお母さんからもらうはずなのに、帝王切開で生まれた赤ちゃんは病院の人や手術器具についている菌を自分の腸の中に取り込んでしまいます。だから、同じ日に帝王切開で生まれた赤ちゃんは病院に常在している同じ菌を持っていることになるのです。
腸内フローラは1歳までに作られる!
最初に取り込まれた細菌とその後1年間に触れた環境によって、その人独自の腸内フローラが形成されていきます。
帝王切開で生まれた子供は自然分娩で生まれた子に比べると・・・
- 肥満率が高い
- アレルギーなどの免疫性疾患率が高い
- 自閉症の割合が高い
という差異がわかっています。
7歳の時点で自然分娩と帝王切開で産まれた子供の腸内フローラを比較すると、帝王切開児は自然分娩児よりあきらかにビフィズス菌と乳酸菌の数が少ないとされています。
これは、分娩の方法によって長期にわたり腸内フローラに影響を与えてしまう可能性があることを示しています。
アメリカで始まっているミクロビオーム移植
出産時に産道を通る重要性に着目したアメリカは、ミクロビオーム移植という方法を実験的に始めました。
帝王切開での出産時、母親の産道に入れて母親の膣常在菌と接触させたガーゼで赤ちゃんの体を包んだり、口に含ませたりして母親の菌を移すという作業を試みました。
実際に帝王切開児に母親の常在菌を引き継ぐ方法に、この膣ミクロビオームを移すやり方が有効であったと報告されているそうです。
プエルトリコで実際に行われている「膣内ガーゼ法」という方法があるらしい。名称や実例はどの程度か定かではありませんが、帝王切開で生まれた赤ちゃんの口や皮膚に、母親由来の細菌が定着するように、母親の膣分泌物を塗布するという方法です。赤ちゃんに母親の細菌を受け渡す機会を人為的に作ることができるので、細菌定着のタイミングを逃してしまうという問題を解決できる良い方法に成り得るかもしれません。(子育てメディアより)
日本では5人に1人、米国では3人に1人という近年の帝王切開率の増加を考えると、帝王切開の増加とアレルギー疾患の増加の間に、細菌を通じた間接的な関連性があることは否定できません。そうすると出産時の適切な細菌定着が、アレルギー疾患の増加を食い止める一つの解決策となるでしょう。
今後、分娩時において、母子だけでなく「細菌」にも配慮した方法が、検討される日も近いかもしれません。
生まれた直後の無菌の状態からどんな菌を取り込むかによって、その子供の体質が決まるのだとしたら・・・
生後1年の腸育こそが子育ての重要な始まりと言えるのでしょう。
