妊娠中の食事は赤ちゃんの腸内フローラに影響する?「新生児腸内環境形成における5つのポイント」

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新生児腸内環境形成における5つのポイント

ヒトの腸内細菌系形成はいつからはじまっているのでしょうか?出産環境や母乳栄養が重要因子だということは分かっていましたが、その他に影響を与える要素があることが解明されています。母子伝播、在胎期間、出産形態、授乳形態、その他因子(抗菌薬の服用、出産回数、性別など)この5つの要素が影響を与えながら腸内細菌叢が形成され定着していきます。
赤ちゃんの腸内フローラを健やかに保つためには、出産準備期間から妊娠、出産、授乳中と長期にわたります。本日は妊娠中の食事が与える影響について。
どのような食事を摂取するべきかまとめてみましょう。

 

妊娠中の食事は赤ちゃんの腸内フローラに影響する?

「赤ちゃんを授かりましたが妊娠中はどんな食事を摂ればいいのでしょうか?」
おめでとうございます!全然関係のない私まで、新しい命の誕生にわくわくしてしまいます。

それにしても妊娠や出産を取り巻く環境はこの10年で激変しています。
私が最初に出産した今から約20年前は妊婦さんだからと言って食事を制限したり、葉酸サプリを飲んだりしませんでした。

私は妊娠中もお酒を飲んでいましたし(医師が少しなら良いと言ったんですぅ)。
しかも、周りが食べなさい食べなさいというので高カロリーなものばかり食べていました。

でも3男妊娠のころになると、妊婦に対する世の規制は厳しくなっていました。

・アルコールだめ
・カフェインだめ
・脂肪分控えめに

「もっと早く言ってよ〜、だから長男は太りやすくて落ち着きの無い子になっちゃったんじゃない!」

しかも妊娠中の母親の脂肪摂取量と腸内フローラの因果関係が学会で発表され、一気に食事指導は見直されました。
もう遅いよ・・・

しかし、このような因果関係が分かってきたことは女性の出産環境を整える意味ではとても重要なことです。
妊娠中の食事を見直すことができると共に、出産までに母子伝播に大切な腸内細菌叢を形成することができるからです。

 

o0480048014038556714妊娠のくせにワインを飲む私28歳

 

胎児から腸内フローラの形成は始まっていた!?

赤ちゃんの腸内フローラは、いつから出来てくるものなのでしょうか?お腹の中にいるとき?産まれてから?

今までは赤ちゃんは無菌で、出産時に初めて菌を習得するものだと考えられていました。
生まれたばかりの時は腸内の酸素濃度が高めなので、大腸菌やストレプトコッカスのような酸素を好む細菌が多いのですが、母乳を飲んでいくと腸の中は嫌気性菌であるビフィズス菌が90%以上を占めるようになります。赤ちゃんの腸管免疫はまだ未熟なので、ビフィズス菌が乳酸や酢酸などを作り出し、酸が苦手な病原菌が増えないようになっています。

赤ちゃんの腸内フローラを形成するために母乳も大切な役割をになっています。
母乳に含まれてるオリゴ糖は、ビフィズス菌のえさとなり赤ちゃんは母乳を飲んでいるだけで理想的な腸内環境が作られていきます。

このように赤ちゃんは無菌状態で産まれ、母乳、離乳食、周囲の環境によって徐々に菌を自分の腸の中に取り込んでいくものと考えられていました。しかし、2016年のアメリカの研究で赤ちゃんの腸内細菌の形成は生まれる前から始まっている可能性があることがわかったのです。
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ベイラー医科大学のAagaard准教授が率いる研究チームは妊娠第3期の妊婦を対象に、妊娠中および授乳中の高脂肪食が新生児の腸内フローラに与える影響を調査し、その注目すべき結果をGenome Medicine2016年8月9日号に発表しました。
→Genome Medicineはこちら

 

妊娠中に脂肪を多く含む食事を摂ると優秀な日和見菌バクテロイデスが減る?

研究内容をわかりやすくまとめてみましょう。

妊婦157名のアンケート調査をし、食事の脂肪量が43.1%と高いグループと脂肪量24.4%の正常グループにわけ新生児の腸内細菌を比較しました。赤ちゃんの胎便を調べたところ、食事の脂肪量が高い母親から産まれた新生児は、バクテロイデス属と呼ばれる腸内細菌が少ないことがわかりました。正常の脂肪量の母親から産まれた新生児よりも明らかに菌の数が少ないのです。

バクテロイデス属とは・・・?
日本人の腸の中に最も多い菌といわれ、私達にとって良い働き、悪い働きをする菌です。バクテロイデス菌は短鎖脂肪酸を生み出し肥満を防ぐと言われています。ぞくにいう「ヤセ菌」です。

 

妊婦さんの食事と赤ちゃんの腸内フローラの関係

この研究で妊娠中の高脂肪食や妊婦の腸内細菌が新生児の腸内細菌形成や脳の発達に与えることが解りました。妊娠中のバランスの悪い食生活が、子供の腸内細菌のバランスを崩してしまう可能性が高いということが明らかになったのです。

今回は脂肪食に特化した研究でしたが、今後はどのような食事内容が胎児に影響を与えるのか明らかにされていくことが期待されます。
またこの研究が、妊娠中の女性達の間でバランスの取れた良い食生活を送ろうと考えるきっかけになってくれればと願います。

「菌は母から引き継ぐもの」
妊娠中の腸活を大切にしジャンクフードなどの高脂肪食は控えましょう。

 

 

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