ピロリ菌を除菌できる乳酸菌、ビフィズス菌はある?「ピロリ菌と共存する方法」除菌をしなくてもいい人

ピロリ菌と共存する方法

 

私が消化器内科のS先生のところに訪ねたとき、決まって話題に上るのが「ピロリ菌」のこと。

 

「ピロリ菌がいないS先生」VS「元ピロリ菌保有者の私」

S先生:「ほとんどの医者が絶対ピロリ菌除菌を勧めるでしょ?あれ、間違っているんだと思うんだよね〜。結構な医療費の無駄遣いだよ」

胃腸:「まーそーかもしれませんが・・・先生は自分が保菌者じゃないから、そんな余裕発言ができるんだと思いますよ。自分の萎縮性胃炎が進行していくたびに、”がん化していないだろうか?”ってびくびくしますよ。たしかにあの強烈に強い除菌薬は使わない方が腸内細菌に良いに決まっていますが・・・」

S先生:「もちろんピロリ菌が悪さをしている場合は除菌を勧めるけれど、中には全く炎症も起こさずにピロリ菌と共存している人もいるんだよ。誰もが除菌が必要ではないということ。」

胃腸:「なるほど、確かにですね。ピロリ菌がいるから逆流性食道炎を起こさずにいる方もいますし。結局、毎年の胃内視鏡は必須ということですね。」

 

ピロリ菌と除菌はこちら

 

先日、お客様よりこんなメッセージをいただきました。

 

2年前の胃カメラで胃が荒れている、早期除菌をと指摘されましたが、授乳中だったため放置、その後に妊娠、また授乳中です。ガン化してないか不安な日々ですが、今も授乳中のためなかなか除菌の踏ん切りがつきません。サプリは腸なので、胃には効果はないのでしょうか?

 

ご質問をいただきましたT様の判断はとても良かったと思います。
妊娠中、授乳中は極力「抗生物質」は使わないでいただきたい。
お母さんの母乳には沢山のビフィズス菌が含まれ、その母乳で赤ちゃんが免疫力を獲得しているからです。

 

母乳と腸内細菌についてはこちら

 

本日は、そんな授乳中でピロリ菌除菌ができないT様のために・・・ピロリ菌と乳酸菌についてお伝えしましょう。

 

 

ピロリ菌とは

 

ピロリ菌(正式名称ヘリコバクター・ピロリ)は約30年前に発見された胃の中に生息する細菌のことです。

 

 

通常の細菌は、胃の中では胃酸で死滅して生きていけませんが、ピロリ菌はアンモニアのバリアで自らを守り、胃の粘膜に住み着きます。
ピロリ菌は、胃や十二指腸の炎症を引き起こす原因のひとつとされ、腸などを含む消化管の病気との関連性について研究が進められています。

 

ピロリ菌は胃の粘膜を萎縮させ、腸の粘膜のような「腸上皮化生」を引き起こします。

 

腸上皮化生について

 

ピロリ菌を保有していると、胃炎から胃粘膜が変化し、胃がんを発症させることが分かりました。
そのため、病気の症状の程度にかかわらず、検査でピロリ菌に感染していることがわかれば、ピロリ菌感染症の診断が下されて、除菌を行うという考えが広まってきました。

 

ピロリ菌を除去することで得られる効果には、慢性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫などの再発を抑えることが期待できます。さらに、早期の胃がんや、原因不明で血小板が減少し出血しやすくなる血小板減少性紫斑病(けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)などの病気の改善や再発予防にメリットがあるといわれます。

 

基本的にはピロリ菌が見つかれば除菌をした方がよいとされますが、最近では病気の症状が出ていない段階でのピロリ菌の除菌は、症例が少ないため正しい処置とはいいきれないという意見も増え始めました。

 

 

ピロリ菌と乳酸菌

 

妊娠中や授乳中、または他の病気との兼ね合いで除菌できない方がいます。
そのような方はピロリ菌の活性をどのようにして抑えれば良いのでしょうか?
ピロリ菌の除去に役立つ食品の研究が進められた結果、乳酸菌に関心が寄せられるようになりました。
すべての乳酸菌がピロリ菌除菌に有効なわけではありません。

 

除菌の効果が確認されている乳酸菌は、

・乳酸菌LG21株

・ビフィズス菌BビフィダムY株

・ビフィズス菌bb-12株

・アシドフィルス菌LA-5

などです。

 

しかし、乳酸菌、ビフィズス菌によるピロリ菌の効果は、菌を完全に死滅させる効果ではなく、菌の活性を抑えるというレベルです。

 

 

授乳中にビフィズス菌を摂りたい本当の理由

 

授乳中に乳酸菌でピロリ菌の活性を抑えることは「胃」にとって良い効果を発揮するでしょう。
しかし、それだけではありません。
妊婦さん、授乳中のお母さんに乳酸菌、ビフィズス菌を積極的に取って欲しい本当の理由は他にあります。

 

乳児を育てている母体は神秘的です。

 

母親の体は赤ちゃんが必要とするものを授けるために変化を続けます。乳頭の奥にヘテロ乳酸菌の一種であるビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属)のコロニーができあがり、母乳と共に排出されます。

 

赤ちゃんは初めて口にする母乳とともに、沢山のビフィズス菌を体の中に取り込んで腸の中に定着させるのです。これが赤ちゃんの腸内フローラのはじまりです。

 

いまから10年前、Pablo F. Perezらの研究グループがマウスの実験で酸素を嫌う細菌であるビフィズス菌が腸から白血球を通して乳腺へ運ばれることを発見しました。母乳の体は赤ちゃんのためにわざわざビフィズス菌を乳腺にまで輸送させていたのです。

 

とても凄いことですよね。

 

母乳にビフィズス菌が含まれているのは、母親の細菌を子供に引き継がせるために体が意図的に移動させていたのです。

 

子供がどのように腸内細菌を獲得するのか?⇒こちらをご覧ください

 

T様、長くなり申し訳ございません。
授乳中は除菌は控えておくほうが良いと思います。
しかし、断乳したら必ず胃の検査を受けてください。
妊娠、授乳と大量の女性ホルモンにさらされる時期は「がん」の発生率が高まります。

 

 

自分のことを顧みる時間はなかなかないと思いますが・・・子供にとって、家族にとって、「お母さんの健康」が一番大切です。どうぞお体を大切にお過ごしくださいね。

 

 

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