歳と共に下っ腹が出るのはなぜ?落下調とは。
私はお風呂に入る前に、必ず横を向いて「下っ腹チェック」をします。
「太ったか?」という心配もありますが、「腸が下垂していないか?」を観察するためです。
胃腸に食べ物が入っている状態にあるとき、どこが出ているのかをみると、胃が下垂しているのか?それとも腸が下垂しているのか?わかるようになります。
温泉などで見かけるけど、おばあちゃん達って下っ腹が出ているでしょ?
太っている人だけではなく、痩せている人も。
あれって腸がたるんで下がってしまっているからなの。
できるだけその「たるみ」を食い止めるよう、体型チェックしているわけなんです。
普通、みんな顔のたるみだけ気にするでしょ?
でもそれだけじゃダメダメ。
内臓のたるみも気にしなきゃね。
腸のたるみは「老けの元凶」です。
本日は、腸がたるむ原因と対策を一緒に考えてみましょう。
イレウス(腸閉塞)で入院した女性の話
私が消化器病棟にいたころです。
1人の50代女性が緊急入院してきました。
ゲーゲーと吐きながら真っ青になり苦しんでいます。口からは便臭のする腸液を大量に吐いていました。
彼女の病名は「便秘による腸閉塞」。
10日以上まともに出ていない状態で普通の食事を続けていたため、腸が通過障害をおこし、消化物の逆流が起こってしまったのです。
3日間絶食をし、チューブで胃液や腸液を吸収し、浣腸をかけて便をだして、やっとなんとか腸は通過ができるようになりました。
鼻から「イレウスチューブ」という腸の内容物を吸引するチューブを入れる処置を受けると、
たまっていた食物残渣を取り除くことができてかなり楽にはなります。
しかし、チューブを入れたままの生活はとても苦しく、管を抜いてあげた時には涙をながして喜んでいました。
腸も老化し動きが悪くなる
この女性は、なぜこのような酷い状態になってしまったのでしょう?
だいたい女性は40代後半ぐらいから、下痢も便秘も悪化傾向になります。
もともと便秘症や下痢症の人はなおさらです。
腸内細菌のバランスが崩れたり数が減少すると便秘や下痢は起こりますが、
もう一つ大きな原因が大腸の活性低下、つまり腸の動きが悪くなることなのです。
大腸は、約1.5メートルの長さで、5ヵ所の曲がり角をつくることで骨盤内に収まっています。
特に左右のわき腹の肋骨下あたりは、ちょうど吊り橋の橋と橋のような感じで、端っこだけ腹膜にくっついて腸をつまんでいる状態なのです。
加齢によってお腹の筋肉が衰え、内臓を包んで吊り上げている膜もたるんでくると、腸の下垂が起こります。
腸が全体的にダラーンと垂れてしまうのです。
年齢と共に顔の皮膚がたるんで下がってくるのと同じように、腸もたるんでくるのです。
胃下垂は聞いたことがあると思いますが、大腸にも下垂は起こります。
その下垂した腸が下っ腹にたまり、お腹がぽっこり出てきてしまうのです。
こうなると腸に貯まっている消化物は停滞しやすくなるし、曲がり角には空気が溜まりやすくなって、
大腸全体の動きが鈍くなり便秘になりやすい状況が生まれてしまいます。
日本人の大腸は教科書的な標準型がたった2割しかいなく、残りの8割はねじれ腸もしくは落下腸といわれ、
大腸の一部がねじれている形状や大腸が骨盤まで落ちこんでいる形状だと報告されています。
ねじれ腸や落下腸も生まれつきのものと考えられていますが、加齢によって増悪するケースも多いようです。
ねじれ腸の場合は、
・いつも同じところが痛む
・いつも便がゆるい
・運動しないとすぐに便秘になる
落下腸の場合は、
・運動していてもあまり便秘が解消しない
・寝ているとお腹は平らなのに立ち上がると下っ腹がぽっこりする
落下腸の悪化を防ぐためには腹筋が大切!
年齢とともに悪化する「落下腸」を防ぐためには腹部を支える筋肉が大切です。
便をスッキリ出すカギとなるのが、S状結腸の周囲にある深層筋「腹横筋」。
腹横筋はお腹の内臓を包みこむ筋肉ですが、この筋肉が衰えると腸の下垂が悪化し便秘の原因に。
下っ腹の筋肉ね!
腹筋をすれば良いんでしょう?
いいえ、通常の腹筋だと腹直筋の上の方から順に働かせていくので下の方までは効きません。
しかし、レッグレイズのような「脚上げ腹筋」のような運動であれば、腹直筋の下から上に順に効いていきます。
寝たままでの姿勢はもちろんですが、イスに座って両脚をつけた状態から太ももを浮かせる動作でも、同じように腹直筋を鍛えることができます。
こんなジャンプも効果的です
落下腸に溜まった便を出すマッサージ
ねじれ腸や落下腸が原因の便秘にはマッサージも有効です。
マッサージは腸を正常な場所に戻すというより、お腹を押さえて腸を一時的に緩めたり広げたりすることで
便が通過しやすいようにサポートするものです。
お腹の左上の曲がり角(横行結腸から下行結腸へ)をゆるめる上体ねじり
横行結腸が落下している場合、左上の曲がり角に便が溜まりやすくなります。
立った姿勢で上半身を捻る運動をするとここがゆるみ、引っかかっている便が通過しやすくなります。
お腹の左下腸をゆるめる下腹部マッサージ
左下腹に位置するS状結腸はねじれやすく便が溜まりやすい場所です。
仰向けに寝て足を腰幅に開き、軽く膝を立てて、左下腹部を圧迫するようにマッサージするとねじれがゆるみ、
引っかかっていた便が通過しやすくなります。
1日1回、腸を刺激して通過道を作ってあげましょう。
便を溜め込まないことが落下腸の悪化を防ぐ近道です。
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