慢性便秘に救世主?PEG製剤「モビコール」
下剤と一言にいっても色々種類があるのをご存じでしょうか?
私は以前から「刺激性下剤」を安易に使い続けてはいけないと訴え続けてきました。
最近では便秘治療のガイドラインでも、最初の選択肢は「浸透性下剤」であり、それでも解決出来ない場合は頓服で「刺激性下剤」を使用するとなっています。
しかし、浸透性下剤にも副作用はあります。
腎機能が悪い方や血中マグネシウム濃度が高い方には使えません。
また、新薬であるアミティーザも吐き気や胃部不快などの副作用が起こるため、刺激性下剤に戻ってしまう方も少なくありませんでした。
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その便秘薬処方、間違っていませんか?グーフィスなど新たな便秘薬の使い方は?「日経メディカル」
そんな便秘薬難民に朗報が?
大腸内視鏡検査の時に使われる下剤「モビプレップ」をご存じですか?
そのモビプレップと同じ成分の薬が便秘治療薬として発売されたのです。
本日は・・・便秘治療薬PEG製剤について調べてみましょう。
PEG製剤モビコールとは?
新薬モビコールは、浸透圧性下剤ポリエチレングリコール(PEG)に塩化ナトリウムなどの電解質を含有させた製剤です。
米国では長く使われている薬の成分ですが、日本では大腸内視鏡の検査前の洗腸液としてしか使われていませんでした。
PEG製剤モビコールは、対象は2歳以上の小児及び成人です。
薬の作用機序としては、浸透圧が等張なため腸壁から水を奪いにくく、便が硬くなるのを防いでくれます。
PEGのマグコロール4000が、浸透圧によって腸管内への水分貯留を促進し、便中水分量と便容積を増加させることで便秘症状を改善させます。
マグコロールは腸管から水分を吸収させないため脱水になる可能性もありました。
「モビコール」に配合された電解質は腸内の電解質バランスを維持し、便中の浸透圧を適正に保ってくれます。
EAファーマHPより
小さな子供にも使える便秘薬
子供の場合、便秘の原因は様々ですが、大人のように腸の動きが悪くなって便秘になるというよりも
・便が硬くて排泄出来ない
・排便時に感じた痛みを記憶しているため、息みたがらない
といったことが原因で便秘が習慣化してしまうことが多いものです。
このため、便が軟らかくなる「浸透性下剤」は小児に向いていると言えます。
腹痛や下痢を起こしやすい「刺激性下剤」は習慣化の心配もあるため、PEG製剤モビコールは小児が使いやすい下剤として期待されています。
でもまだ薬価が高い!
良いことばかりの新薬に思えますが、問題点もあります。
薬価高いこと、粉末を水に溶かして飲む薬剤なので飲みにくいこと。
この2つが当面は懸念材料になるでしょう。
酸化マグネシウムのマグミット錠250mgの薬価が5.6円なのに対し、
モビコールは1包あたり83.9円です。
また、モビコールは1包ごとの処方のため、用量の調整が難しいことも使いにくい理由になるかもしれません。
期待の新薬ですが、まだ一般的に普及するのには時間がかかりそうです。
腎機能に問題がない人はマグミットのような酸化マグネシウムを使い、酸化マグネシウムを使えない人がモビコールを選ぶというような選択が良いのかもしれません。
私の下剤はどうかしら?
そんな方はかかりつけの医師にご相談してみて下さいね。
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