むやみに取ってはいけなかった!免疫に大切な盲腸
臓器として機能がないと考えられていた盲腸、虫垂炎になるとすぐに切除して取り除く治療が一般的でした。しかし、この無用の長物だと思われていた盲腸が実はとても重要な臓器であることが分かりました。
大阪大学大学院医学系研究科感染症・免疫学フロンティア研究センターの竹田 潔教授らのグループは、体で不必要な組織と考えられていた虫垂に存在するリンパ組織が、粘膜免疫で重要な役割を果たすIgAの産生に重要な場であり、腸内細菌叢の制御に関与していることを発表しました。研究グループは、実験的に虫垂リンパ組織を欠如したマウスでは大腸のIgA産生細胞の数が減少し、大腸の腸内細菌叢が変化することを発見しました。
盲腸はじつは凄い奴だった!
消化器内科外来での会話。
Dr:「あのさ〜、なんで”盲腸を散らす”っていうんだろうね〜。だって炎症を広げたら腹膜炎になっちゃうじゃなーい!」
胃腸良子:「・・・」
Dr:「しかし、なんで盲腸なんてものが存在するんだろう?あんなのなければ僕たちの仕事が少し減るのにね〜〜」
胃腸良子:「・・・次の患者さんは下腹部痛です。斉藤さーん、診察室にお入り下さい。」
いまでも虫垂炎の患者さんを診るとこの会話を思い出します。医師や看護師の間でも盲腸(虫垂)は人間が進化したあとの名残であり無用の臓器だと思われていました。しかし最近では、どうやらこの盲腸がじつはすごい奴だということが分かってきています。
でも便秘でその盲腸がまったく活躍出来ていない患者さんをよくお見かけします、残念でなりません。
せっかくの腸内細菌を育てる盲腸に便が詰まったままなんて・・・
どういう意味だって・・・?はい、本日はこの盲腸についてお話いたしますね。
盲腸ってどんな腸?
一般的に盲腸と呼ばれているものは・・・
「小腸から大腸に入ったところにある回盲部と呼ばれる部分の先に突き出た5㎝ほどの突起物です。小指程度の大きさです。」
正式名称は虫垂。虫垂に炎症が起こるとなぜか「盲腸」と呼ばれ、臓器の通称か、病名か分からない言葉になっていますよね。
いままでは不用な臓器だと思われていましたが、最近の研究により虫垂にも様々な役割があることが分かってきました。その研究内容はこちらです。
大阪大学 大学院医学系研究科 感染症・免疫学講座(免疫制御学)/免疫学フロンティア研究センターの竹田 潔 教授らのグループは、私たちの体で不必要な組織と考えられていた虫垂に存在するリンパ組織が、粘膜免疫で重要な役割を果たすIgA注1)の産生に重要な場であり、腸内細菌叢注2)の制御に関与していることを突き止めました。本研究グループは、実験的に虫垂リンパ組織を欠如したマウスを作成したところ、このマウスでは大腸のIgA産生細胞の数が減少し、大腸の腸内細菌叢が変化することを見いだしました。IgAは腸内細菌叢の維持に重要な抗体であることから、虫垂は腸内細菌叢のバランス異常によって発症する炎症性腸疾患注3)の制御にも関わる重要な組織であると考えられます。今後、虫垂を標的とした炎症性腸疾患への新たな治療法の開発が期待されます。
本研究成果は、2014年4月10日(英国時間10時)に英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版で公開されます。
つまりどういうことかと言いますと・・・
虫垂は腸内細菌を作り出すのに非常に重要な臓器で、虫垂がないと大腸内の腸内細菌バランスが崩れてしまうということがわかったのです。
なぜ盲腸になるの?便秘とは関係ありますか?
虫垂炎と便秘は関係があります。
便秘になると腸内に便が長くとどまり、どんどん便が硬くなり量も少なくなります。それにより「糞石:ふんせき」という便が化石化したものが作られ、その糞石が虫垂の入り口をふさいでしまうことがあるのです。
本来、虫垂に便が出たり入ったりして腸内細菌を運んでいるわけですが、虫垂から出られなくなった古い便が炎症を起こす原因となります。実際に急性虫垂炎を起こした人の中には「糞石」が多く見られます。そのため、便秘を放置しておくと急性虫垂炎のリスクが高くなります。
盲腸を薬で散らすとは?予防法はありますか?
昔、医者が盲腸の患者さんに・・・「盲腸を薬で散らしましょう」なんて言ったことがあるかもしれません。
なぜ散らす?どうしてこのような言葉を使ったのかは分かりませんが、正確には・・・
「抗生剤を使って炎症を抑える」という意味です。炎症を散らしては(拡散させては)大変なことになってしまいますよね。
軽い虫垂炎を繰り返して、その度に抗生剤を使っていると再発するリスクが高くなります。糞石が詰まってしまったままの状態だからです。再発率は10〜20%と言われています。
虫垂炎の予防はまず便秘の解消です。便秘の予防法はいつも触れていますが・・・
- 規則正しい食生活
- 水分をしっかり摂る
- 食物繊維を摂る
- よく寝る
- 適度な運動
- 毎日、排便習慣を付ける
基本的なことですが、意外に出来ていないこともあるのではないでしょうか?
また、うんちの中身も気にして下さい!
時々、右下腹がなんだかしくしく痛むことがある・・・そんな人は気づかないうちに軽い炎症を起こしているのかもしれません。
ある日救急車で運ばれて大変なことにならないよう、便秘を予防して虫垂を大切にして下さいね!!
↓ナースキュアシンバイオティクスEXのご購入はこちらから