入院して抗生剤治療をしてから下痢が止まりません「クロストリジウム・ディフィシル感染症とは?」

入院して抗生剤治療をしてから下痢が止まりません

 

抗生剤を飲んで下痢をしたという経験がある方は多いと思います。
抗生剤によって腸内細菌バランスが変化しますので下痢を引き起こしてしまうのです。

 

病院や介護施設などで「下痢」を主症状とする病気に「クロストリジウム・ディフィシル感染症」という病気があります。
クロストリジウム・ディフィシル感染症は医療関連感染症のひとつで、院内で感染する感染症の代表的なものです。
せっかく病気を治すために入院したのに、病院で感染症にかかったら本末転倒ですよね。

 

先日こんなご相談がありました。

 

年末、80歳の母が膀胱炎からの腎盂腎炎で入院したとき点滴で抗生剤治療をしました。
熱はすぐにさがり退院となりましたが下痢が止まりません。
整腸剤などを飲ませれば良いのでしょうか?

 

このご相談を受け少し心配になりました。
「すぐに病院に相談に行った方が良いと思います。クロストリジウム・ディフィシル感染症だといけませんので」
そうお答えしたのですが・・・

 

本日は、このクロストリジウム・ディフィシル感染症についてお伝えしたいと思います。

 

 

クロストリジウム・ディフィシル感染症とは?

 

クロストリジウム・ディフィシルとは、約2%の健常者にも腸内に存在するグラム陽性偏性嫌気性細菌です。
健康な人の場合、このクロストリジウム・ディフィシルがいても他の正常な腸内細菌がいるので、増殖したり毒素(クロストリジウム・ディフィシルトキシン)を排出することができず問題にはなりません。

 

クロストリジウム・ディフィシル感染症とは、抗菌薬関連腸炎のことで、抗生剤の大量投与などで免疫力が低下している場合に感染を起こします。
症状は軽度の下痢症状から腸閉塞や中毒性巨大結腸症、さらには死にいたるような重篤な腸管壊死を起こす場合があります。
クロストリジウム・ディフィシルトキシンは大腸炎を引き起こしますので下痢が主な症状ですが、イレウス(腸閉塞)を起こしている場合は下痢が起こらない場合もあります。
またその便はとても強い悪臭があります。

 

 

 

なぜクロストリジウム・ディフィシル感染症が起きるの?

 

抗生剤を使用すると、腸管内で腸内細菌叢のバランスが崩れます。
そこに嫌気性菌であるクロストリジウム・ディフィシルを経口感染により取り込み、腸管内で増殖します。
すると腸管内で「菌交代現象(主要な菌が変わる)が起こります。そして、クロストリジウム・ディフィシルトキシンを排出して大腸の粘膜を攻撃します。

 

病院のベットや部屋にはクロストリジウム・ディフィシルが多く存在しているため、感染しやすくなるのです。

 

アメリカの消化器学会のガイドラインによると、
・3日以上の抗生剤投与
・2ヶ月前までの抗生剤投与
がリスクを高めると報告されています。

 

 

クロストリジウム・ディフィシル感染症にかかったら?

 

クロストリジウム・ディフィシル感染症と診断された場合、

・使用している抗生剤の中止、または変更
・クロストリジウム・ディフィシル感染症に効果的な抗菌剤を使用右矢印メトロニダゾール、バンコマイシンなど

という治療が一般的でした。
しかし、2018年10月にクロストリジウム・ディフィシル感染症診療ガイドラインが発表され、治療アルゴリズムが完成しました。

軽度の症状に強い抗菌剤を使うと耐性菌を生み出してしまうため、正しい選択が必要になります。

 

T様、お母様の下痢はいかがでしょうか?
また何かご心配なことがございましたら、いつでもご連絡ください。

 

 

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