どうしてすぐ下るの?
緊張したり、電車に乗ったり、ストレスがかかると「お腹がゆるくなる」そんな経験をしたことがある方は少なくないでしょう。精神的な緊張やストレスによる下痢は、交感神経が亢進することによって腸の動きが早くなってしまうからです。「女性はつまる、男性はくだす」そんな都市伝説がありましたが、最近はどうやらどっちもどっちのようです。男でも女でもいつもゆるい。ストレスが多い社会では、そんな悩みを抱えている方が多いようです。本日は、下痢の原因と対策についてまとめてみたいと思います。
腸の働きと下痢との関係
下痢と言っても普通の下痢と深刻な下痢があります。深刻な下痢の場合、脱水や栄養失調などを引き起こし重症化することがあるので注意が必要です。
まずは下痢の分類です。
- 浸透圧性下痢:腸の中に水があふれ出し水が吸収されにくくなる状態。牛乳を飲んで下痢になるのもこのタイプ。(正しくは→腸管内に高浸透圧性物質が過剰に存在することで、腸管内の浸透圧が高まり、多量の水分が腸管内に移動します)
- 滲出性下痢:腸内に炎症が起こり、腸管内に多量の浸出液が排出されるために起こります。
炎症性疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、細菌性腸炎(サルモネラ菌、ブドウ球菌、赤痢菌)、腸結核、虚血性腸炎などが原因となります。 - 腸蠕動亢進性下痢:腸の動きが速くなってしまうことで、水分の吸収が充分に行われず水様便になってしまいます。過敏性腸症候群やバセドウ病がこのタイプ。
他には、薬剤性の下痢やアレルギー性下痢などもあります。
お腹の音で腸の動きを確認
よく病院でお医者さんがお腹の音を聴診していますよね。これでなにが解るのでしょうか?
お腹の調子を知るために普段の「自分のお腹の音」を覚えておきましょう。
- 正常なお腹の音:ごろごろ、ぐるぐるという音で5〜15秒ごとに音が聞こえます
- 音があまり聞こえない:腸の動きが悪くなっている状態で1分以上音が聞こえません。腹膜の炎症や重度の便秘などが考えられます。
- 音が激しい:グルグルと突進するような音が、1分間に35回以上聞こえる場合は腸の動きが早くなりすぎています。感染性の胃腸炎による下痢、イレウスの沈静化時に聞こえます。
下痢の問題と対策
急に下痢が起こったときは自己判断で薬を飲んだりせず、必ず医師の診察を受けましょう。
下痢には止めて良い下痢と止めてはいけない下痢があります。
下痢の問題
- 脱水:本来吸収されるはずの水分が便と一緒に排泄されてしまいます。唇が乾燥していたら脱水の兆候。
- 電解質不足:脱水予防として水だけ摂取していると塩分やカリウムなどの電解質が不足してしまいます。
- 肛門周囲の皮膚炎:アルカリ性の便が頻回に肛門周囲に付着するとかぶれや炎症を起こしやすくなります。
下痢の対策
- 保温:下着を1枚余分にきたり、膝掛けをかけるなどして腹部を冷やさないようにしましょう。
- 水分補給:下痢が続くと脱水症状を引き起こします。一度に飲むと下痢が悪化することがあるのでゆっくり少しづつ飲みましょう。アルコール、コーヒー、紅茶、牛乳などはNGです。
- 食事:下痢が治まるまで、食事は控えて下さい。固形物を食べると下痢が誘発されます。食事を再開するときはおかゆや煮込んだうどん、りんご、味噌汁などがお勧めです。
- 清潔:肛門周囲に便が残っていると肌荒れが起こります。排便後はぬるま湯で洗浄し油分の高い保湿クリームを塗りましょう。
本日は基本に戻って「下痢」をお伝えしてみました。下痢は腸の悲鳴です。一緒に改善方法を考えていきましょう。