重症化を招くdysbiosis腸内毒素症とは？「腸内環境が乱れる原因」変化する腸内フローラ

重症化を招くdysbiosis腸内毒素症とは？

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0.1 重症化を招くdysbiosis腸内毒素症とは？

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「便の臭いが異常に臭いのですがなにか病気があるのでしょうか？大腸内視鏡検査を受けてみたのですが何も異常はないと言われました。」
便秘や下痢を繰り返す方からの質問でとても多いのが「便の臭い」についてです。

お肉ばかり食べていると便やおならが臭くなるといいますが、同じ食事内容をしている家族でも便の臭いは違うもの。
これは一体どういうことなのでしょう？

臭いを決めているのは自分の腸内に生息する細菌達です。
同じものを食べても人によっておならや便の臭いが違うのは、腸内フローラの違いによるものです。
おならは腸内細菌が消化物を分解するときに発生するガス。
腸内に善玉菌が多いと臭いはあまりしませんが、悪玉菌が多いと臭いおならになります。

便やおならの臭いが異常に臭い場合は「dysbiosis：腸内毒素症」が疑われます。
なんか嫌な病名ですね。
毒素なんて・・・
でもこのdysbiosisという病態はいま全世界的に増加の一途をたどっています。
また腸内環境が崩れdysbiosisが起こると様々な体調不良をおこし疾病の重症化を招く原因になることが分かっています。

本日は、いま腸内環境で最も注目されている「dysbiosis：腸内毒素症」についてまとめてみましょう。

dysbiosis腸内毒素症とは？

人の腸管内では沢山の腸内細菌がいつも増殖を続けそのバランスは変化しています。
推定1000種類といわれる菌が集まり複雑な微生物生態系を保っています。
これを「腸内フローラ」と呼びますが、この微生物群は食事の内容やストレスなどの環境因子などによって変化すると言われています。

食事のバランスが崩れると、特に高脂肪の多い食事を摂りすぎると、腸内フローラのバランスは乱れ腸管上皮のバリア機能が低下し腸内細菌が上皮間の隙間をすり抜けてしまします。
このような状態を「dysbiosis：腸内毒素症」と呼びます。
腸管内の透過性の亢進は、腸内細菌及びその成分が血中に移行をもたらし、炎症性サイトカインの増加を介して微小な慢性炎症を引き起こします。

dysbiosisは、肥満、糖尿病のインスリン抵抗性、感染症の重篤化の一因となっていると考えられています。

dysbaiosisを起こす原因

dysbiosisは食事環境によって引き起こされることが多いですが、他の複合的な因子によって増悪すると考えられています。

・抗生物質の乱用
・胃潰瘍などに使用される制酸剤（PPI、H2ブロッカー）
・ステロイド
・化学療法
・ピル
・人工甘味料
・食物繊維不足
・感染症
・ストレス
・アルコール

これらは、乳酸菌やビフィズス菌などの良性菌を減少させ、クロストリジウムやウェルシュ菌などの悪性菌を増加させます。
また菌の種類を減らし多様性を減少させます。

集中治療室患者さんの腸内環境

dysbiosisは急激なストレスや環境の変化によっても起こります。
病院の集中治療室患者さんの腸内環境を調べその変化を観察した研究があります。

⇩マイキンソーラボよりの引用です。
ICUの入院患者の腸内細菌叢（腸内フローラ）を健常者のそれと比較すると、入院患者では健康維持に関わりをもつ共生細菌の数多くの分類群が喪失する代わりに、少数の病原性細菌が異常増殖しているという特徴を持っている。重篤な疾患が契機になると考えられるこの「腸内毒素症」と呼ばれる状態は、院内感染や敗血症、多臓器不全にもつながっている。この「腸内毒素症」を解消し、患者の転帰を改善するアイディアがAmerican Society for Microbiology, ASMの電子メディアmSphereに2016年8月31日付けで公開された。