原因不明の下痢は胃薬が原因?タケプロンやオメプラールで起こる下痢や腸管感染症、正しい薬の飲み方

改善しない下痢の原因

 

昨日、原料メーカー様と医師と新商品の開発会議をしていました。
K医師が途中で薬を飲み始めました。
「なにを飲んでいるんだろう?」
こっそり観察してみると「タケプロン」と「フォイパン」。
医師でこの薬を飲んでいる人は本当に多い。

 

薬が簡単に手にはいる環境というのもある意味問題だと思います。
あまりに簡単に薬を使用してしまうし、自己判断だけで服用するから重複成分とか相互作用とかあまり気にしていないようだし。
こんなことは口が避けても言えませんが、医師は薬を過剰自己投与してしまう傾向があると思います。

 

K医師は慢性的な「下痢」でお悩みです。
ひょっとして「タケプロン」が原因?
でもこれも口が裂けても指摘できないですよね。
だからこっそりとK医師のデスクに先日の論文のコピーを忍ばせておこう。

 

じつはいま、下痢の原因のひとつに「胃薬の乱用」が問題になっています。
タケプロンやオメプラールなどのPPI(プロトンポンプインヒビター)が発売されてから胃潰瘍や胃炎が激減しました。
大変効果的な薬として世界中で使用されています。
しかし、効果が高い薬だけに安易処方されていまうケースも。

 

先日の日経メディカルでも胃薬と下痢の関係がピックアップされていました。
本日は・・・胃潰瘍治療薬の飲み過ぎによる「下痢」についてお伝えいたしましょう。

 

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)とは?

 

胃の調子が悪いと病院でよく処方される胃薬、プロトンポンプインヒビター(PPI)はみんさんもお飲みになったことがあるかと思います。
タケプロンやオメプラールなどのPPIは、胃酸分泌抑制作用がとても強く胃や十二指腸潰瘍や逆流性食道炎の治療によく使用されます。

 

EAファーマより

 

胃酸を強く抑制することで胃痛やむかつきなどの症状をよく改善しますが、その結果、腸内細菌のバランスが変わり、下痢や腸炎などの副作用を起こしてしまうことがあります。

 

◆プロトンポンプ阻害薬の副作用
・腫瘍性病変→胃ポリープ、胃がん、胃カルチノイド、大腸がん
・栄養吸収阻害→ビタミンB12欠乏、鉄欠乏
・骨折
・感染症→肺炎、腸管感染症
・腸管障害、痔
・下痢、コラーゲン性大腸炎(collagenous colitis):ランプソラゾールによる
・認知症

 

 

止まらない下痢、果たしてその原因は・・・

 

原因が分からない下痢の患者さんが多くいらっしゃいますが、その原因が実は薬の副作用だったというケースも少なくありません。
抗生剤は下痢を引き起こすことは有名ですが、PPIのような胃薬で下痢が起こることもあります。

 

胃薬と下痢の関係↓
まず診断からお話ししてしまいますが、今回の症例はランソプラゾールが原因のcollagenous colitis(CC)※でした。ランソプラゾール中止により、2日後には下痢症状は消失しました。薬剤中止2日後に下部消化管内視鏡検査を実施したところ、特徴的な縦走潰瘍を認め、生検でコラーゲンバンド(膠原線維帯の肥厚)を確認しCCと確定診断となりました。かかりつけ医にランソプラゾール処方の理由を問い合わせ、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)潰瘍の予防目的との回答を得たため、エソメプラゾール(ネキシウム)に変更。その後は症状もなく経過し、炎症反応も正常化しています。
※CC:血便を伴わない慢性水様性下痢が特徴で、ランソプラゾールやNSAIDsなど、薬剤が原因となることが多い。確定診断には大腸内視鏡検査による生検病理標本で大腸粘膜上皮直下に10μm以上のコラーゲンバンドを確認する必要がある。内視鏡所見として、特徴的な縦走潰瘍を認めることもある。
止まらない下痢、果たしてその原因は…:日経メディカルより

 

自分の下痢の原因がわからないという方は、もう一度薬の内容を医師と一緒に見直してみる必要があるかもしれません。

 

 

その下痢は「薬剤性腸炎」かも?

 

こんな症例報告があります。
PPIの内服によって薬剤性腸炎を引き起こした80歳女性の経過です。

 

以前より便秘と下痢を繰り返していた。食道違和感があり、ランソプラゾールOD錠30mg開始。1カ月半後も便秘と下痢を繰り返すため、コロネル、ビオフェルミン錠処方されたが、下痢が続くようになった。2カ月半後、1日に7~8回もトイレに行く状態のため、リン酸ジヒドロコデイン散3g(分3)を定期処方に追加。それでも下痢が続くため、ランソプラゾールOD錠の副作用を疑い中止。
3カ月後、大腸内視鏡検査と生検を行い、病理検査でコラーゲンバンドが確認されたため、ランソプラゾールOD錠による薬剤性腸炎と診断した。3カ月半後、プレドニン錠15mg開始。ランソプラゾールOD錠の代わりにオメプラゾール錠20mgを処方したが、服用2~3日で下痢が起きた。逆流症状(口の苦味、胸焼け)があるためラニジチン錠150mg2錠(分2)へ変更。その後、下痢は改善し、プレドニン錠は漸減している。
引用:全日本民医連より

 

症状を改善するために飲んでいた薬で、症状を悪化させてしまった1例です。

 

胃酸は食べ物を消化するうえで大切な働きをしているため、慢性的にPPIを内服することは避けた方が良いと思います。胃炎や胃潰瘍などの症状発症時に適切に使用しましょう。

 

薬には必ず「作用」と「副作用」があることを忘れてはいけないな、と思った1日でした。
良薬も毒となることがあるということですね。
病院から処方された薬をスットクして自己判断で飲むようなことは止めて、症状に合わせた治療をその都度医師にご相談下さい。

 

 

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