高齢者の便秘問題は世界共通?
私の携帯には、もと同じクラスだった同窓生の看護師仲間30名くらいで作っているLINEグループがあります。もともとは同窓会の連絡目的で作った連絡ツールなのですが、みんなでときどき仕事の相談や求人募集をしあったりするんです。
便利な世の中になりましたよね。
旧友と簡単に連絡を取り合うことができ、遠く離れていてもまるで隣にいるかのように会話が出来る。嬉しいものです。
ひとくちに看護師といっても自分が所属していた科によって知識や経験は全く違います。
私は消化器、婦人科、整形外科、乳腺外科、脳神経内科の経験はありますが、小児科や循環器、呼吸器の経験はありません。だから自分が不得意な科の医療や看護の情報を交換し合えるのは有り難いことです。
先日もアメリカにいる友人から質問がきました。
老人の便秘についてです。
高齢者の便秘は日本よりもアメリカの方が現状は深刻なようです。
食生活や運動量が影響しているのは言うまでもないでしょう。
本日はその相談内容をご紹介しながら、高齢者の排便問題の現実をクローズアップしますね。
自分で便が出せない!どしたらいい?
寝たきりの方の介護をしている友人からの相談です。
現職の訪問看護師が的確な回答をしてくれました。さすが現場で働いているナースの言葉は説得力があります。
どんな手立てでも便を出すことが出来なくなった結果、直腸に溜まっている便を手で掻き出すという(摘便:てきべん)方法しか手段がなくなってしまうのです。
高齢者の便秘はなぜ起きる?
人は加齢によりすべての身体機能が衰えていきます。
防衛力、予備力、適応力、回復力の4つの働きが低下してバランスが崩れた状態になって行きます。それに伴い運動量の低下、消化機能の低下、筋肉量の低下、水分摂取不足、排便反射の減弱、歯の欠損、食事量の減少、心因的なストレスが加わり多くの高齢者が排便障害を起こしやすくなります。
自分で活動できる高齢者のうち、排便障害を抱えている割合はおよそ4割。
寝たきりの高齢者に関しては9割以上と言われています。
どうやって予防する?いまから出来ることは?
それは腸を甘やかさないことです。
本来であれば自分で出来る活動を、薬の力で助けてばかりいては機能低下が加速するのも当然です。
病院にかかることをためらい強い市販薬を飲むのが習慣になっている人は、まずは医師に相談してみましょう。刺激性の下剤から習慣性の出にくい下剤に変えて腸内フローラを育てる必要があります。
生活習慣の見直しも便秘解消の手助けとなります。
・出来るだけ規則正しい食事習慣にする(食べ物が胃に入ると腸は動き出します)
・水分をしっかり摂取する(1日1〜1.5L以上)
・ウォーキングなどをし、活動量を増やす
・歯を大切にする
・睡眠をしっかりとる
・毎朝必ずトイレに行くなど排便習慣を付ける
私達も必ず高齢者になります。
今の80代や90代は戦後の大変な日本を乗り越えてきた世代です。
薬もサプリも加工食品もなかった時代を生きてきた方々です。腸の活動は今の私達世代よりはるかに良いものだと思います。
私達世代が高齢者になったとき、はたして自分で排便出来る人はどのくらいの割合になるのでしょうか?
自分たちの子供、孫世代に負担をかけないためにも「自分の腸管理」はとても大切なことです。
毎日の腸からのお便りに目を向けて下さい。うんちは健康のバロメーターです。毎日200g(バナナ2本分)目指して下さいね!