便秘は病気の始まり
私が便秘や下痢について書き始めたのは2015年、いまから6年前です。
そのころ病院では当たり前のように刺激性下剤が処方されていました。
何種類もの刺激性下剤を服用させ、
詰まる→下る→詰まる→下るの繰り返し。
そんな薬の使い方していたら
「腸が動かなくなっちゃう!!!」
と心の中で叫んでいましたが、
医師の処方に看護師は口を出せません。
相談を受けた患者さんに刺激性下剤からの離脱法を指導していました。
それと言うのも医療界では便秘はたんなる症状で、
疾患としてはみなされていなかったんですね。
いまでこそ、過敏性腸症候群や排便困難症を専門とする外来があるくらいですが、
数年前まで排便コントロールを積極的に指導する医師は少数派でした。
先日、日経メディカルで便秘薬の弊害について
まとめてある記事がアップされていました。
「ようやく便秘薬の副作用がクローズアップされるようになった」
と胸をなで下す思いです。
本日は、その記事を抜粋して分かりやすくまとめてみますね。
日経メディカルというWEBは登録された医療従事者しか閲覧することができないので、
皆様が直接読むことは出来ないのです。
改めて「正しい便秘薬の使い方」について考えてみましょう。
あなたの便秘対策間違っている?
便秘治療でやってはいけないこと。
それは自己判断で市販薬を飲み続けること。
規定量を超えて内服量を自分で調整することは、
特に危険です。
便秘といっても原因は様々です。
詰まる、出ない理由を確認して、
医師に薬を処方してもらうようにして下さい。
便秘で病院に行くなんて・・・と躊躇しないでくださいね。
『あなたの便秘対策間違っているかも?「私は大丈夫、コーラック飲んでいるから」便秘薬の害と老化する腸』
最悪の便秘を引き起こすのはまさかの便秘薬?
日経メディカルで3人の専門医が便秘薬の使い方について説明していたことを要約してみますね。
便秘薬は「レスキュー目的で使用する頓服薬」と、「便秘をコントロールする常用薬」に分けて考えると良いと思います。
簡単にカテゴライズすると、
・センノシドなどの刺激性下剤がレスキュー頓服薬
・酸化マグネシウムなどの非刺激性下剤がコントロール薬
です。
レスキュー頓服薬である刺激性の下剤は、
アントラキノン系とジフェノール誘導体系に分けられます。
アントラキノン系・・・センノシド、センナ(アローゼン)、大黄
ジフェノール誘導体・・・ピコスルファート(ラキソベロン)、ビサコジル(テレミンソフト)
それぞれ長期内服は副作用を伴います。
アントラキノン系は、腸管粘膜のアポトーシス(細胞死)、リポフスチン(老化色素)の沈着をきたすことで、大腸メラノーシスという大腸粘膜黒色化の原因となります。
また腸管のアウエルバッハ神経叢が障害されるため、大腸の弛緩・拡張を引き起こし腸管機能が著しく低下します。
このため薬の量を増やさないと効果が出なくなり、難治性の便秘=最悪の便秘へと陥ってしまいます。
ジフェノール誘導体は、アントラキノン系より効果はマイルドですが、薬剤性の虚血性大腸炎を引き起こすことがあります。
刺激性下剤は即効性があるため、レスキューとして用いるのは正しい使用法です。
しかし、あくまでも頓服で使用するべき。
長期に渡る常用は避けなければなりません。
↓大腸メラノーシスとは?
『大腸ポリープが大腸癌になるまで。便秘と大腸の病気の関係』
新薬を上手に使いましょう
下剤の第1選択肢は、酸化マグネシウム(マグミット)ですが、下痢をしてしまう方が多く、「使いにくい」という声も多いものです。
酸化マグネシウムは昔から使われている耐性リスクがない薬剤ですが、タケプロンのようなプロトンポンプ阻害薬(PPI)との併用は効力が落ちますし、腎機能が低下している高齢者には使いずらい側面もあります。
近年、コントロール用の下剤として新薬が登場し、
選択肢が広がりました。
・ポリエチレングリコール→モビコール
・ルビプロストン→アミティーザ
・リナクロチド→リンゼス
・エロビキシバット→グーフィス
従来の下剤でコントロールが難しいという方は、
医師に相談してみて下さい。
↓新薬の詳細
『慢性便秘に救世主?PEG製剤「モビコール」慢性便秘にどう使うの?新しい浸透性下剤とは?』
下剤で排便コントロールが出来るようになったら、
次は積極的な腸活を!
ビフィズス菌が腸内を酸性に保つことによって、自らの腸蠕動(押し出す運動)を取り戻すことができます。
(このステップ大事!刺激性下剤からいきなり腸活サプリに変更しても腸は動きだしません)
薬いらずの快適排便習慣目指して頑張りましょう
↓腸活3つのステップ
『ビフィズス菌サプリを飲むとスルンと出るのはなぜ?「うんちを出す力をつけよう!」健康快便習慣』