女性と黄体ホルモン
私の友人で生理前に必ず便秘に苦しむ女性がいます。
ただでさえ生理前はメンタルが不安定になるというのに、オマケに便秘ときたら・・・
それは気分も塞ぎますよね。
女って本当に面倒くさい。
月のものとかいらないし、女性だけが子どもを産むなんて不公平だ!
次に生まれる時は男に生まれてきてやる〜。
でも生理が上がったいまはこう思います。
「女性ホルモンの恩恵って素晴らしい!だから女は強く楽しく生きることができるんだ!」
ホルモンとは上手にお付き合い下さい。
でも男女間同様、仲が悪くなるときにもあります。
ホルモンに振り回されることは少なくありませんが・・・
そんな時は薬の力を借りながら調整していきましょう。
本日は「黄体ホルモン(プロゲステロン)」との付き合い方について考えてみましょう。
なぜ生理前は便秘になるのか?
どうやって解消すれば良いのか?
普段はあまりフォーカスされることがない黄体ホルモンと腸の関係です。
生理前や妊娠中に便秘になりやすいのはなぜ?
生理前に体調が優れなかったり便秘がちになる女性は多いと思います。
生理前、妊娠中には、卵巣内の黄体という場所で作られる黄体ホルモン(プロゲステロン)が増加します。
この聞き慣れない「黄体ホルモン」は、胎盤の形成などをうながす働きがあると共に、消化管の蠕動(ぜんどう:押し出す動き)を抑える作用も持っているため腸の動きが鈍くなる原因となります。
不妊治療中に「便秘になりやすい」と訴える患者さんは多くいますが、これも黄体ホルモンの仕業です。
黄体ホルモンは、胎児の成長にあわせて子宮が大きくなるように子宮周辺にある消化管の筋肉をゆるめる働きを持っています。この働きが大腸を動かす大腸平滑筋まで弛緩させてしまい、その結果、腸の動きが鈍くなり便秘になりやすくなります。
不妊治療中にも同じ現象がおこる
妊娠しやすい時期は「黄体ホルモン値が高いとき」です。
そのため不妊治療を始めると黄体ホルモンを補充することがありますが、この治療を行うと便秘になりやすくなります。
排卵後、ホルモン補充周期で黄体ホルモンを補い始めると、体はむくみやすくなり腸内は水分吸収が促進され腸の蠕動運動が妨げられるため排便コントロールが難しくなります。
黄体ホルモンは生理を起こしたり、妊娠を維持するために重要な女性ホルモンなため治療には欠かせません。
不妊治療の副作用である便秘は、薬を使用して上手にコントロールしていきましょう。
妊娠中の便秘、薬を使ってコントロールをしても大丈夫?
生理前、不妊治療中、妊娠中は黄体ホルモン優位になり便秘に悩まされるかもしれません。
特に、妊娠中の便秘は上手にコントロールしていく必要があります。
妊娠中に便秘が長く続くと、胎児を圧迫したり発育に影響を及ぼすのではないかと心配する方が多いと思いますが、便秘自体が胎児の成長に悪影響を及ぼすことはありません。
しかし、便秘が続くと胃や腸を圧迫して苦しくなり、子宮の収縮と併せて気分が悪くなることが増えてしまいます。
また「妊娠中は薬を飲まない方が良い」という感覚から酷い便秘になりがちです。
妊娠中に使いたくない便秘薬は刺激性下剤です。
センナや大黄などの腸の収縮を促す成分は、腸管だけではなく子宮の収縮も促進させます。こういった成分を使い続けると切迫流産を引き起こす原因にもなりますので注意が必要です。
妊活中や妊娠中の便秘にはやはり治療薬が必要です。
腸内フローラを整えるサプリだけでは解決ができません。医師に相談しながら、酸化マグネシウム、刺激性下剤の中でも妊娠中に使用可能なラキソベロンなどを使用して定期的な排便習慣を付けましょう。
※来月のインスタライブでは妊娠中に必要な栄養素、膣内フローラの作り方についてお話したいと計画しています。
子どもの成長に大切な「菌移植」、健康体質を与えるために必要な母親からの「菌伝搬」。
他では聞けない最新治療に触れたいと考えていますが、・・・妄想に終わらないよう頑張ります
ナースキュアインスタ